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タイトル

最判 平7.3.7

まとめ

共有の出願にかかる拒絶査定不服審判の取消訴訟は単独提起可能か。
 →不可:共有者全員で審決取消訴訟の提起を行うことが必要(固有必要的共同訴訟)
 ∵共有者全員の有する一個の権利の成否を決めるものである
   ⇒審決合一確定の要請

内容(全文)

理    由

 上告代理人増井和男、同飯村敏明、同河村吉晃、同今井廣明、同小栗昌平、同吉野日出夫、同中村友之、同関口博の上告理由について
 一 原審の適法に確定した事実によれば、被上告人は、名称を「磁気治療器」とする考案についての実用新案登録を受ける権利を有限会社日本電磁波治療器研究所と共有し、右考案につき共同で実用新案登録出願をしたが、拒絶の査定を受けたため、右研究所と共同して右査定に対する審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決がされたところ、被上告人は、単独で右審決の取消しを求める本件訴えを提起したものである。
  原審は、被上告人が単独で提起した本件訴えも適法であるとして、本案につき判断し、右審決を取り消した。
 二 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
  実用新案登録を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利を目的とする実用新案登録出願の拒絶査定を受けて共同で審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に、右共有者の提起する審決取消訴訟は、共有者が全員で提起することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解すべきである(最高裁昭和五二年(行ツ)第二八号同五五年一月一八日第二小法廷判決・裁判集民事一二九号四三頁参照)。けだし、右訴訟における審決の違法性の有無の判断は共有者全員の有する一個の権利の成否を決めるものであって、右審決を取り消すか否かは共有者全員につき合一に確定する必要があるからである。実用新案法が、実用新案登録を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは共有者の全員が共同で請求しなければならないとしている(同法四一条の準用する特許法一三二条三項)のも、右と同様の趣旨に出たものというべきである。
  そうすると、本件訴えを適法とした原審の判断には法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は原判決の結論に影響することが明らかである。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、前記説示に照らせば、被上告人の本件訴えは不適法として却下すべきである。
 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、九六条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     

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